【議会傍聴記】行政の動きが遅くてガッカリ~熱中症対策~

勉強のため、なるべく本会議や各種委員会は、議会へ出向き、生の声を傍聴するようにしています。

第二回の定例会において、印象に残ったことを記述します。
今回は、企画総務委員会(7月1日開催)を傍聴した時のことです。


「東京緊急対策2011」という東京都からの肝入り事業の一環で、墨田区も「高齢者熱中症対策事業費」として、補正予算を計上するとの事。


世間から後ろ指をさされるかも知れませんが、私は高齢者に限っては、健康と命を守るためにも、28度程度で一日中エアコンをつけていたほうがいいと思っていますし、近隣の高齢者には「水分補給」と「エアコンはつけなきゃダメだよ」と毎夏口を酸っぱくして言っています。

しかし今年は少し事情が違います。東日本大震災および福島原発の事故以降、省エネ・節電が、テレビやラジオで繰り返し呼びかけられ、私たち区民も、エアコンをつけたいのをギリギリまで辛抱する、など辛い対応を迫られています。「エアコンをつける=悪いこと」のような報道に、高齢者ならなおさら我慢してしまうでしょう。


「高齢者熱中症対策事業」。これは大いにやって頂きたい。
約1700万円の追加予算ですが、この事業は東京都からの補助ですし、やらなきゃ損ですね。


でも行政の説明を聞いていると「?!」とか「???」なことが、とても多いのです。


まず、疑問なのは、対策事業の中身に関してです。
皆さんよくご存じの「濡らして首に巻く熱中症対策グッズ」を高齢者に配布してくれるそうです。



いわゆる、こういうやつですね。

洋服がちょっと濡れてしまうのですが、実際使ってみると、意外と良いです。
私はセーム皮ちっくな吸水タオルを愛用しています。


これはありがたい話です。
しかし、その配布方法がちょっと。。。


「濡らして首に巻く熱中症対策グッズ」は300個程度用意され、見守り相談員さんが戸別訪問を行った際に、“緊急性がある方”に、配布するそうです。

熱中症対策グッズってものは、予防のために使うものであり、“緊急性がある方”に配布するものではありません。今回の事業は、熱中症予防を啓蒙するための事業のはずです。

また、相談員さんが戸別訪問して配布、という流れも、無駄に話をややこしくしているように感じます。相談員さんが来てくれるまで待つより、元気な方なら、区役所にもらいに行ったほうが早いです。

また、高齢者の方は、貰ったものをついつい大切にしてしまうので、私が職員なら、使い方を説明がてら、水に濡らし、その場で首に巻いてあげたいくらいです。


次に疑問なのは、実施時期です。

委員会で予算が通り、商品手配~商品が揃うのが7月下旬、実際に相談員さんが訪問して“緊急性がある”高齢者の方に熱中症対策グッズが届くのは、8月上旬だと言うのです。


遅い。。。遅すぎです。


私が疑問に思う事は、当然委員(区議)も疑問に思っておられたようです。
委員会では、配布時期について質問が入り、山崎区長も「それでは遅すぎる」という見解に。

なるべく早急に対応する、という結論に到達しました。なるべく早急がいつなのかは、また別の議論になりそうですが。


ちなみに、同じ東京都内で、他の市区町村はどのような対応をしているか調べてみると・・・。
羽村市では、平成23年度中に65歳以上となる市民の方(約12,000人)を対象に、はがきを発送し、はがきと引き換えに啓発用チラシと予防グッズを無償配布します。
福生市では、スピード優先でさらに作業を簡素化。65歳以上となる市民全員に、啓発用チラシと予防グッズをいきなり郵送します。
武蔵村山市なども「全員に配布」を決定しています。
いずれも7月上旬から中旬に実施され、墨田区に比べ、配布対象も明瞭かつ半月ほど対応が早いことが分かります。



羽村市の12,000個とか聞いちゃうと、墨田区の「300個」という対応が悲しくなってしまいますね。
(口頭記述ですので、300個は相談員ひとり当たりの数かも知れません。そうだとしても7月下旬から300人を訪問し、話をして状況を判断した上で予防グッズを配布してるうちに秋になりそうです。)


都の通達、予算の通過など、さまざまな手続きを経て実施されるさまざまな事業。
やはりどうしても時間がかかりますよ。よくわかります。

全部急げとはいいません。こと夏のこの時期に、高齢者の健康と命を守るため、誰が見ても早急に行うべきものなら、区民(委員)にツッこまれる前に、行政側もそれなりのスピード感を持って対応して頂きたいのです。


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